【共テ物理】’22本試*分析と解説

#共通テスト #物理 #2022年 #本試験 #くにごろう #JUKEN7

◆問題一覧

第1問


第2問


第3問


第4問


◆分析と解説

第1問

[問1]②

《要点》
逆位相の2波源からの波の干渉条件.基本的.

《解説》
強めあう条件より, $$ \begin{split} &\frac{2 \pi}{\lambda}\left|l_1-l_2\right| \pm \pi=2 m \pi \\ &\therefore~\left|l_1-l_2\right|=\left(m \mp \frac{1}{2}\right)\lambda~. \end{split} $$ ここでは,$m=0,~1,~2,~\cdots$であるから,最後の複号は$+$を選ぶのが正しい.

[問2]③ ③

《要点》
凸レンズによる実像の向きを選ぶ.また,レンズの半分を隠した際の像の変化について.いずれも頻出.

《解説》
倒立実像は,上下・左右とも反転する.

レンズの一部を隠すと届く光線の量が減り,像は暗くなる.

※ 「H30試行調査 第1問 問4」と近い内容.

[問3]②

《要点》
物体を取り付けてある剛体円板のつりあい.意外と差が付く.

《解説》
$\angle\mathrm{CPO}=\theta$とおく.点Pまわりの力のモーメントのつりあいより, $$ \begin{split} &0=M g \cdot x \cos \theta-m g \cdot(d-x) \cos \theta\\ &\therefore~ x=\frac{m}{M+m} d~. \end{split} $$

※ 力のつりあいを考えれば,糸の張力も求まる.

[問4]②

《要点》
$p$-$V$グラフ上の3つの状態の内部エネルギーの大小関係を評価する.基本的.

《解説》
AよりB,Cが高温なのは明らか.B→Cは断熱膨張ゆえ,温度が下がる.よって,温度は低い順にA,C,B.また,内部エネルギーは温度に比例する.

[問5]⑦

《要点》
2つの平行な直線電流の作る磁場,受ける力について.基本的.

《解説》
直線電流の周囲を取り囲むように磁力線が生じる.その向きは右手の規則で判断できる.$I_1$が$I_2$の地点に作る磁束密度の大きさは,$B_{12}=\mu_0 \dfrac{I_1}{2 \pi r}$であり,それから$I_2$が受ける力の大きさは,$F_{12}=I_2 B_{12} l=\mu_0 \dfrac{I_1 I_2}{2 \pi r} l$である.向きは,フレミングの左手則から判断できる.

第2問前半

《要点》
一定の力を加えた台車の運動の測定実験を素材にした問題.問題文に書いてあることを読み取って,式に直す能力が問われている.

[問1]④

《要点》
本文中で与えられた(稚拙な)仮説を数式化し,対応するグラフを選ぶ.

《解説》
仮説を具体的に数式化すると,比例定数を$k$として,$v=k \dfrac{F}{m}$となる.$v$の$F$依存性を考えると,比例であり,$m$が大きいほど傾きは小さくなるから,対応するグラフはない.$v$の$m$依存性を考えると,反比例であり,$F$が大きいほど原点から遠い.

※ 問題の趣旨は面白いが,明らかに誤った数式をわざわざ立式させることは,教育的には好ましくないと思われる(正確な式を近似的に評価した式にするなどのほうがよいのでは).

[問2]① ②

#実験

《解説》
力の大きさ一定⇒ばねはかりの目盛りが一定.また,力の大きさと速さの関係を調べる際は,質量は同一の条件にしなければならない.

[問3]④

《要点》
与えられたグラフから,元の仮説が誤っている理由を選ぶ.元々の仮説があまりに明らかに誤っているため,逆に理解しにくく感じた受験生もいるかもしれない…

《解説》
①②③は,仮説と反するだけでなく,実験データとも食い違っている.なお,正しい物理法則である運動方程式に基づけば,$v-v_0=\frac{F}{m} t$であり($v_0$は初速度),実験データはこの式を表している.

[問4]④

《要点》
運動量と力積の関係から,一定の力を受ける物体の運動量の時間変化を予測する.

《解説》
時刻$t$における運動量を$p(t)$とすれば,$p(t)-p(0)=F t$である.よって,$F$が同一であれば,$p$-$t$グラフは同じ傾きの直線となる.

※ 「その物体がどのように力を受けてきたか」の情報は,初速度に集約される.大人には言わんとすることが簡単に分かるが,受験生にとってはなんだか問題文が長くてよく分からないといったところだろう.要は「運動量の時間変化率が力の大きさだけで決まること」を聞いているだけの設問であり,余計な「読解力」を問う意義を感じない.

第2問後半

《要点》
前半と切れ目なく続くが,実質的に別の問題.2体問題で成り立つ法則の理解を問う.

[問5]①

#現象理解

《要点》
設定により,打ち上げ直後の台に対する小球の相対速度は鉛直上向きに大きさ$v_1$である.つまり,地面から見れば速度の水平成分は等しく$V_1$である.よって,水平方向の運動量保存則より, $$ (M_1+m_1)V_1 = (M_1+m_1)V~. $$

なお,打ち上げに利用されたばねに蓄えられていた弾性エネルギーを$U$とすれば,力学的エネルギー保存則は,次式のようになる: $$ \frac{1}{2}m_1(V_1{}^2+v_1{}^2)+\frac{1}{2}M_1V_1{}^2 = \frac{1}{2}m_1V{}^2+\frac{1}{2}M_1V{}^2+U~. $$

[問6]③

#現象理解

《解説》
水平方向には外力が働かず,系の運動量の水平成分は保存する: $$ (M_2+m_2)V_2 = M_2V~. $$ なお,「衝突(完全非弾性衝突)」であるから,系の力学的エネルギーは減少する.

※ おもりの速度の水平成分が$0$から$V_2$へ瞬時に変化するために,「衝突」時に摩擦が撃力的に働いたと考えられる.

第3問

《要点》
磁石を取り付けた台車がコイルを通り抜ける際に生じる誘導起電力の測定実験.磁石が動くタイプの電磁誘導を定性的に評価する問題.このテーマは旧センター試験でも出題されると正答率が下がりがちであった.

※ 参考問題:2000年・東京工業大,2016年・東北大後期.

[問1]⑤①

#データ読取

《解説》
グラフより,$0.20\,\mathrm{m}$隔たった2つのコイルを通り抜ける時間間隔が$0.4\,\mathrm{s}$であることが読みとれる.

[問2]② ③ ①

#定性評価

《要点》
誘導電流が作る磁場が,磁石の及ぼす力の評価.また,空気抵抗の影響の評価.

[問3]⑤

#定性評価

《要点》
起電力を大きくするための方策を考える.ファラデイ則の定性理解.

《解説》
誘導起電力を大きくするには,磁束の変化率を大きくする.2つのコイルを通り抜ける時間間隔が変わらないことから,台車の速度は変わっていない.

[問4]③

#定性評価

《要点》
起電力の向きが逆になるため理由を問う.

[問5]④

#定性評価

《要点》
台車が加速度運動する場合に,起電力がどのように変わるかの定性評価.難しい.

《解説》
台車が加速することから①か④にすぐ絞れる.さらに,加速するほど起電力が大きくなることから④が選べる.

※ きちんと考えると難しい問題だが,①か④にすぐ絞れてしまい.平均点をそこまで下げないことになる.

第4問

《要点》
水素原子のボーア模型.

[問1]⑥

《要点》
等速円運動の加速度の導出の穴埋め.基本的な作図による理解も必須.

[問2]④

#大雑把に捉える

《要点》
陽子と電子の間の万有引力と静電気力の大きさの比を,大雑把に評価する.

《解説》
10のマイナス何十乗かだけ分かればよいので,有効数字0桁(?)で評価する. $$ \frac{F_\mathrm{G}}{F_\mathrm{e}}=\frac{G M m}{k_0 e^2} \sim \frac{10^{-10} \times 10^{-27} \times 10^{-30}}{10^{10} \times\left(10^{-19}\right)^2} \sim 10^{-39}~. $$

[問3]④

《要点》
量子条件を満たす軌道半径が与えられる.その下でエネルギー準位を求める.典型的.

《解説》
円運動の運動方程式より, \[ \begin{split} &m\frac{v^2}{r}=k_0 \frac{e^2}{r^2}\\ &\therefore~\frac{1}{2} m v^2=\frac{k_0 e^2}{2 r}~. \end{split} \] すると, \[ E=\frac{1}{2} m v^2+k_0 \frac{+e \cdot(-e)}{r}=-\frac{k_0 e^2}{2 r}~. \] ここに,量子条件を満たす軌道半径$r$を代入・整理して, \[ E_n=-2 \pi^2 k_0^2 \times \frac{m e^4}{h^2} \times \frac{1}{n^2}~. \]

[問4]②

《要点》
振動数条件を書く.基本的.

《解説》
$$E-E^{\prime}=h \nu~.$$