【化学新課程】熱化学方程式とエンタルピー[物化選択者向け]

こちらでは物理・化学選択者向けに「エンタルピーとは何か」説明します.
また,新課程と旧課程の表現の書き換えもできるようにします.
初心者向けのゆる説明はこちら.
👉 エンタルピーゆる説明[初心者向け]

その他の新課程対応についてはこちら.
👉 【化学新課程】変更点まとめ

解説動画

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00:00 はじめに
01:05 エンタルピーの定義
15:15 エンタルピーの解釈
25:32 化学変化への応用
48:17 おわりに
(約51分)

エンタルピーは,熱力学で用いられる状態量であり,系のエネルギー的な状態を表す指標のひとつである.

※ エンタルピーは,エントロピーとは直接関係のない別の量である.

注目している系のエンタルピー$H$は,系の内部エネルギー$U$,圧力$P$,体積$V$を用いて次式で定義される:

$$H = U + PV~.$$

特に,定圧過程においては次式のようになる:

$$\varDelta H = \varDelta U+P\varDelta V$$

つまり,定圧過程においては,エンタルピー変化が系の吸熱量を表す

※ 定圧条件下において,エンタルピーは,物質系の内部エネルギーと容器の位置エネルギーの合計,つまり系全体のエネルギーと解釈することができる.この解釈をとれば,エンタルピー変化が系の吸熱量を表すことは明らかである.

化学変化の前後での物質系のエンタルピー変化を$\varDelta H = H_\text{あと}-H_\text{まえ}$とする.

※ エンタルピー変化は,反応物と生成物の状態(気体・液体・固体)や温度・圧力などの条件によって異なる.特にことわりがない場合,エンタルピー変化を示す際には,25℃,1気圧=1013hPaにおける値を用いるのが慣例である.

$\varDelta H<0$の場合,系の吸熱量が負となり,発熱反応となる.これは,系がエネルギー的に高い状態から低い状態へ下がり,余分なエネルギーを熱という形で放出したと理解することができる.

※ 正確には,内部エネルギーの減少分と外界からされた仕事の和(つまりエンタルピー減少)に等しい熱を放出する.
※ この反応は自然に進行しやすく,一般に反応は自発的である.

$\varDelta H>0$の場合,系の吸熱量が正となり,吸熱反応となる.これは,系がエネルギー的に低い状態から高い状態へ向かうために,エネルギーを熱という形で吸収したと理解することができる.

※ 正確には,内部エネルギーの増加分と外界へする仕事の和(つまりエンタルピー増加)に等しい熱を吸収する.
※ このタイプの反応は外部からのエネルギー供給が必要であり,多くの場合,反応を継続させるために熱や光などの形でエネルギーを加え続ける必要がある.

化学反応式にエンタルピー変化$\varDelta H$を付記することで,反応での熱の出入りを表す.

発熱反応の例:水の生成

$$\ce{H2(g) + \dfrac{1}{2}O2(g) -> H2O(l)}\quad\varDelta H=-286\,\text{kJ}$$

この式は,1モルの水素と1/2モルの酸素が化合して1モルの水が生成する際のエンタルピー変化が$\varDelta H=-286\,\text{kJ}$であり,$286\,\text{kJ}$の熱が放出されることを表している.

旧「熱化学方程式」では:
$$\ce{H2(g) + \dfrac{1}{2}O2(g) = H2O(l)}+286\,\text{kJ}$$

吸熱反応の例:一酸化窒素の生成

$$\ce{N2(g) + O2(g) -> 2NO(g)}\quad\varDelta H=180\,\text{kJ}$$

この式は,1モルの窒素と1モルの酸素が化合して2モルの一酸化窒素が生成する際のエンタルピー変化が$\varDelta H=180\,\text{kJ}$であり,$180\,\text{kJ}$の熱を吸収することを表している.

旧「熱化学方程式」では:
$$\ce{N2(g) + O2(g) = 2NO(g)}-180\,\text{kJ}$$

このように,エンタルピー変化を付した化学反応式を使用することで,反応に伴う熱の出入りを定量的に表現することができる.

また,エンタルピー図を用いて示すとよい.反応に伴うエネルギーの変化を視覚的に理解することができる.

※ 以前は「エネルギー図」と呼ばれていたが不正確な表現であった.
※ エンタルピー変化の数値は文献による若干異なる場合がある.

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