【入試物理の思考地図】波動の公式と解法パターン
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図:波動の学習項目を,波の基本から音・光の典型問題まで見渡せるように整理した思考地図です.
正弦進行波
波の基本式:
$$ c = \frac{\lambda}{T} = f\lambda $$
※ 波長 $\lambda$,周期 $T$,振動数 $f = \dfrac{1}{T}$,伝わる速さ $c$.
基本の作図
- 波形を少し移動させることで各地点の媒質の動きが読み取れる.
- 縦波(疎密波)の波形から各地点の疎密を読み取る.
※ 波形グラフと振動グラフの混乱が起こりやすいため,波形グラフで考えることを基本とし,振動グラフは無暗に用いないことを推奨.
※ 媒質の変位が正から負へ切り替わる地点では,周囲の媒質が近づいてきており,密となる.逆が疎.
波の式のレシピ
- AからBへ波が時間 $t_{\mathrm{AB}}$ かけて伝わる ⇒ 今のBでの変位 = $t_{\mathrm{AB}}$ だけ前のAでの変位.
※ 今のAでの変位 = $t_{\mathrm{AB}}$ だけ後のBでの変位,と考える場合もある.
反射と定常波
反射
- 自由端反射 ⇒ 波はそのまま(同位相で)折り返される.
- 固定端反射 ⇒ 山と谷が逆転して(位相が $\pi$ ずれて)折り返される.
定常波
- 波長の等しい逆向きの進行波が重なると定常波が生じる.
- 腹と腹・節と節の間隔は半波長.
- 反射がある場合,自由端が腹,固定端が節となる.
- 縦波の定常波で,密度変化が最も激しいのは節.
固有振動
弦の固有振動
- 弦の固有振動 ⇒ 両端が節の定常波.
- 弦を伝わる横波の速さ(張力 $S$,線密度 $\rho$):
$$ v = \sqrt{\frac{S}{\rho}} $$
気柱の固有振動
- 気柱の固有振動 ⇒ 開口端が腹,閉口端が節の定常波.
- 開口端の腹は外に出張る(開口端補正).
※ 物体の自由な状態での振動を固有振動とよぶ.物体に固有振動と等しい周期で変化する外力を加えると,固有振動の振幅が次第に増大する.この現象を共鳴(共振)とよぶ.
うなり
- 振動数 $f_1$,$f_2$ から生じるうなりの振動数:$f_{\mathrm{b}} = |f_1 - f_2|$
ドップラー効果
音源が動く場合
- 音源が動くことで,生じる音波の波長が変わる.
- 波長:$\lambda' = \dfrac{c - v_{\mathrm{s}}}{f}$
観測者が動く場合
- 観測者が動くことで,単位時間あたりに受け取る波の個数が変わる.
- 観測振動数:$f' = \dfrac{c - v_{\mathrm{o}}}{\lambda}$
※ 音源の振動数を $f$ とし,音源の速度を $v_{\mathrm{s}}$,観測者の速度を $v_{\mathrm{o}}$ とする(音が伝わる向き正).
※ 音速 $c$ は音源の運動に依らない.
※ いずれの場合も「近づくときに音が高くなる」ことから符号をチェックするとよい.
特殊な場合
- 斜め方向のドップラー効果:音源・観測者の速度の視線方向成分のみが寄与する.
- 風が吹く場合:風速の効果を取り入れて,地面に対する音速を補正する.
※ 視線方向成分:音源と観測者を結ぶ方向(音が伝わる方向)の成分のこと.
屈折と干渉
屈折
- 屈折率 $n$ の媒質中では,伝わる速さ・波長が基準の $\dfrac{1}{n}$ 倍になる(振動数は不変).
- 屈折の法則:$n_1 \sin\theta_1 = n_2 \sin\theta_2$
- 「波面と光線が垂直」の事実に基づいて屈折の法則を理解しておく.
※ この関係は重要.干渉などの問題でもこの事実が出発点になることがある.
2つの波の干渉条件
- 強めあい:位相差 $= 2m\pi$
- 弱めあい:位相差 $= (2m+1)\pi$
- 道のり $L$ と波長 $\lambda$ の関係:位相差 $\dfrac{2\pi}{\lambda}L$
※ $m$ は整数.
光の干渉
- 光学的距離(光路長):$s = \text{屈折率} \times \text{道のり}$
- 光が屈折率の小さい媒質から大きい媒質へ入射して反射するとき,位相が $\pi$ ずれる.
ホイヘンスの原理・回折
- ホイヘンスの原理:波面の各点から二次的な円形波(素元波)が出て,それらの包絡面が次の波面を形成すると考える.
- 波は障害物の後方に回り込むように拡がりながら進む ⇒ 回折.
- 障害物が小さいほど,波長が長いほど,大きく回折する.
※ 特に,波長程度より狭いスリットを通過すると拡がって進む.
レンズ
レンズを通過する光線の性質
- レンズの中心を通る光線は直進する.
- 凸レンズの光軸に平行な光線は,反対側の焦点へ向かう.
- 凹レンズの光軸に平行な光線は,あたかも手前側の焦点から出たかのように進む.
- 光の経路を真逆にたどると光線を得られる(光線の逆進性).
※ レンズを通る光線の性質は屈折の法則から説明される.なお,高校物理では,暗黙の裡にレンズの厚みを無視し,近軸光線のみを扱う.
像の作図と公式の導出
- 像の作図 ⇒ 2本の光線を描く.
- 公式の導出 ⇒ 被写体に対する像の倍率を,2通りで表す.
※ 光軸に平行な光線とレンズの中心を通る光線を描くのが普通.
※ 実際に光線が集まり,そこにスクリーンを置けば像が写るのが実像.一方,虚像は,物体があたかもそこに在るかのように見える,というものである.
※ 公式の導出では,相似を利用する.
レンズの公式
- 焦点距離 $f$ のレンズに対し,光軸上でレンズから測った被写体の位置を $a$,像の位置を $b$ とすると,レンズの公式
$$ \frac{1}{a} + \frac{1}{b} = \frac{1}{f} $$
が成り立つ.ただし,$f$ は凸レンズのときに正,凹レンズのときに負の値をとる.また,$a$ は光が入射する側にあるときを正にとり,$b$ は光が透過する側にあるときを正にとる.
- 被写体に対する像の倍率:$\left|\dfrac{b}{a}\right|$
- 実像:像の位置にスクリーンを置いたときに実際に結像するような像.
- 虚像:あたかもそこに被写体があったかのように見えるというような像.
- 被写体と像の位置がレンズを挟んで逆側($b > 0$)のとき実像,同じ側($b < 0$)のとき虚像といえる.
- 凸レンズにおいては,被写体が焦点より外側にあるとき倒立実像ができ,内側にあるとき正立虚像が出来る.後者の場合が虫メガネに使われる.
※ 凹レンズにおいては,像は常に正立虚像であり,倍率は必ず1より小さい.
音と光に関する常識
音の性質
- 空気などの流体を伝わる波は縦波(疎密波)である.
- 常温の空気中での音速は約 340 m/s であり,温度が上がると速くなる.
- 振動数(音程):音の高さ(可聴範囲は 20 Hz〜20000 Hz 程度).
- 振幅(音量):大きさ.
※ 固体中では横波の音波も存在するが,前提知識とはされない.
光(電磁波)の性質
- 振動する電場・磁場が伝わる横波である(真空中でも伝わる).
- 真空中の光速:$c = 3.0 \times 10^{8}\ \mathrm{m/s}$(波長に依らない).
- 波長が長い(振動数が低い)順に,電波・赤外線・可視光・紫外線・X線・γ線.
- 可視光(波長域 380 nm〜770 nm)では,波長が長い順に赤・橙・黄・緑・青・紫.
- 一般に,可視光に対する屈折率は,波長が長いほどわずかに小さい(光の分散).
- 光は微粒子に衝突すると散乱されるが,波長が長い光(赤より)は比較的散乱されづらい.
- 電場の振動が特定の方向に偏っている光を偏光という.
※ 様々な波長(色)が混ざった光が白色光である.
※ 赤よりの光ほど,屈折されづらい(直進に近い).
※ 散乱のされやすさの違いが,青空や夕焼けの原因である.