【物理】入試物理学習の全体像 -効率と生産性を追求する-

効果的な学習法について段階的に詳しく解説します.JUKEN7のカリキュラムを用いた具体的な学習プランを示しつつ,非受講者にも有用なヒントを提供しています.是非ご覧ください.

JUKEN7物理では,主に標準レベルの出題を行う大学のことを標準大,難関レベルの出題を行う大学のことを難関大などと呼んでいます.偏差値の高低で分類していないので注意してください.ザックリと旧帝・東工・早慶・慈恵あたりが難関大,それ以外が標準大です.

※ 標準レベルの出題で高得点率の大学のことは難関大と呼んでいない.
※ 色々な種類の「難関」があり得るが,ここでは大枠の議論を行う.詳細は大学ごとに論じる.

基本的となる学習フロー

  1. 基礎的な知識・スキルのインプット
  2. 基礎力の定着トレーニング
  3. 典型的な入試問題等を利用したアウトプット練習を通じた基礎の確認
  4. 解法を整理し,思考力(=解法の判断力)を磨く
  5. 過去問等の実践的な演習

標準大では典型問題の類題がほとんど.基礎固めをしっかり行えば,解法に迷うことはまずない.典型問題を汎用的な解法で解けるようにしておくことが最重要.思考力はさほど問われない.

※ 要は,典型問題が多少形を変えても解けるようになっていればよいということ.
※ JUKEN7では,入試物理ファンダメンタルズ(基礎講義)→標準演習→典型入試演習の流れで自然に効果的な学習が可能.

難関大でも,基本的な学習フローはに変わりはない.ただし,解法の判断が必要になる出題が増えてくるため,意識的に解法を選択できるようにする訓練が必要となる.もちろん実践演習のレベルも高くなる.

※ JUKEN7では,『真の特講』で基礎を高度に統合し,思考を整理することができます.

「基礎」とは何か?

難しいと言われる入試問題は,いくつかの要素が複合して作られています.「基礎」とは,複雑な問題を構成する個々の要素を指します.つまり,「基礎力」とは,それを組み合わせることで物理のあらゆる問題に対処できるという学力の土台となる力のことを指すのです.

入試物理の学習において,まず必要となるのが,基礎力の構築になります.基礎力を構築するには,必須の知識とスキルを身につけ,運用できるようにすることが必要です.

  • 必須知識:覚えておかなければならない用語や公式などの知識.
  • 必須スキル:核となる公式や解法の運用方法.

※ 基礎は,易しいことを意味しません.

基礎の重要性

物理は他の教科と比べても基礎のハードルが高く,学習初期につまづいてしまう人が多い教科です.しかし,基礎力をしっかり強化すれば,標準レベルの入試問題は大体すぐに解けるようになっていまいます.つまり,基礎力が得点力に直結しやすい教科なのです.焦らずに基礎力強化に臨んでください.

基礎力習得のフローはざっと以下のようになります.

  1. 必須知識・スキルのインプット
  2. 定着トレーニング
  3. 典型的な入試問題等を利用したアウトプット練習を通じた基礎の確認

各ステップについて以下で詳述します.

基礎固め①:必須知識とスキルのインプット

必須の知識・スキルのインプットは,素朴には教科書に載っている用語・公式・解法を学んでいくことです.

効率・効果を上げるためには次のことに注意するとよいでしょう.

  • 効果的な学ぶ順番
  • 入試での重要度に応じた強弱
  • 優先すべき事項を先に学ぶ
  • 全体像を見据えた上での各項目の位置付け
  • 解法を判断する上での考え方

これらのことを鑑みると,適切なカリキュラムの下,適切な講義を通じたインプットが最も効果的かもしれません.また,抽象的な議論だけで終わらせないために,適切な例題を通じて具体的な思考の流れを確認することも重要です.あくまで問題を解くことに使える生きた知識・スキルを身につける必要があります.しっかりとインプットし,基本的な例題を通じて具体的に学び,自分自身の思考を成長させていきましょう.

JUKEN7のカリキュラムでは…

「入試物理ファンダメンタルズ(基礎講義)」に対応する部分です.非受講生の方は,教科書や「チャート式」などでインプットを行っていきましょう.笠原著書『物理の解法フレーム』のまとめや例題なども活用してください.

※ この部分が最も学習環境によって差が付きやすく,独学が難しいかもしれません.逆に,基礎力がある程度身についた後は,問題演習は独学しやすい教科とも言えます.
※ 問題集を通じて,いきなり問題を解きながら基礎を身につけようとする学習法も氾濫していますが,効率が悪いのは明らかです.

【JUKEN7のカリキュラムでは】
「入試物理ファンダメンタルズ(基礎講義)」に対応する部分です.非受講生の方は,教科書や「チャート式」などでインプットを行っていきましょう.笠原著書『物理の解法フレーム』のまとめや例題なども活用してください.

◆ 基礎固め②:定着のためのトレーニング

インプットしただけでは,知識・スキルは定着しません.目的に沿った適切なトレーニングが必要です.学習中の知識・スキルを磨くために特化した問題演習を積んでいきましょう.質と量の両方を重視し,目的が明確な問題演習で効率よく量をこなすことを目指しましょう.

※ 目的が明確になっていない問題(テーマが整理されず,複数のテーマが混在しているような問題など)が多く含まれている問題集も見かけます.やみくもに問題を解くのではなく,問題を選別して取り組むことも重要です.
※ 上記以外に学習順序や優先順位が配慮されていなかったり,解説が適切ではない問題集も多く見かけます.
※ 基礎的な問題を基礎的な解法で解くことが大事です.ある特殊な問題を素早く解ける特殊な解法は,必要に応じて後の実践演習の中で身につければ充分でしょう.

【JUKEN7のカリキュラムでは】
「標準講義」に対応する部分です.非受講生の方は,お手持ちの基本的な問題集を活用しますが,市販の問題集では,目的が明確になっていない問題(テーマが整理されず,複数のテーマが混在しているような問題など)が多く含まれていたりしますので,よく選別して演習を行うとよいでしょう.『物理の解法フレーム』の演習問題も参考にしてください(問題数を最小限に絞ってあることにご注意ください).

基礎固め③:定着確認&アウトプット練習

確固たる基礎力とは,応用的な演習の中で実際に発揮できる基礎力のことです.それを身につけるためには,基礎的な問題を利用して基礎トレーニングをするだけでなく,実践的な問題演習の中に基礎を見出していく必要があります.

実際の入試問題では,基礎的な知識・スキルを複合的に用いることになりますが,まずはある程度シンプルで典型的(=頻出)の問題に取り組むのがよいでしょう.アウトプット練習を行いつつ,知識・スキルを確認することで,基礎力はより確固たるものになっていきます.曖昧な部分に気付くこともあるでしょう.その際には,インプットや基礎トレに回帰することも必要です.つまり,基礎力強化と実践演習がらせん的に進んでいくイメージです.

【JUKEN7のカリキュラムでは】
「典型入試演習」や「良問の嵐」に対応する部分です.非受講生の方は,お手持ちの問題集や過去問集を活用してください.問題集を選ぶ際は,その場限りの解説ではなく,基礎に基づいた解説を行っているものを選んでください.

思考の整理とより深い理解へ

標準レベルの入試問題は,典型的な設定であったり,それらの組み合わせであったりすることが多いため,適切な訓練を積んであれば,解法を特に意識しなくとも解けてしまうケースが多いです.

難関レベルの場合は,意識的に思考しなければ解法が選択できない問題も増えてきます.このような問題に対処するためには,身につけた知識・スキルを整理・統合し,再構成すること=頭の中に「思考地図」を作ることが重要です.また,タテ割りだけでなく,分野横断的な考え方も含むヨコのつながりを見出してゆくことで,より深く理解したり,柔軟な思考ができるようになります.

適切に解法を判断するトレーニングも行うとよいでしょう.

【JUKEN7のカリキュラムでは】
「集中講義」でヨコのつながりを扱ったり,深い理解を促したりしています.また,『真の特講』の演習の中で自然と「思考地図」が形成されるような講義を行っています.「思考地図」についてはnote記事やYouTube配信でも語っていますので,そちらもご参照ください.

実践演習

大学入試において物理ほど基礎力が如実に得点力として現れる教科はないのではないでしょうか.適切な学習を積み重ねていれば,過去問演習などの実践的な演習はさほど苦にならないはずです.志望大学の過去問や,志望大学より若干出題レベルの低い他大学の過去問に取り組みましょう.ただし,分からない問題については,その場しのぎにせず,きちんと基礎に立ち戻って考えることが大事です.

体系的な学習 / パターン網羅的な学習

個別の知識をバラバラに学ぶのではなく,全体の中で自分がどの部分を学んでいるのかを俯瞰し,体系的に学習することが重要です.さらに,学習が進んできた段階で,思考を整理し,体系の中で位置づけ直すことで,思考力(=解法の判断力)が磨かれます.力学・熱力学・電磁気の分野ではこのことが顕著です.一方,波動や原子物理は問題パターンを網羅的に学習するのが効率的です.

完璧主義になりすぎない

完璧主義は重要ですが,完璧主義にこだわりすぎずに先へ進むことも大切です.特に力学を完璧にしてから他の分野に進もうとする受験生が多いですが,他の分野が手薄になって失敗するパターンあも多いので学習計画に注意が必要です.

優先順位を

特に物理に対してとっつきにくさを感じている方は,学習の焦点を絞り,中心となる部分だけを重点的に習得することが重要です.不可欠なものと後回しにしてよいものを区別し,これを知らないと先に進めないということを優先して学んでいきましょう.

基礎力の涵養が一番難しいところで,概念把握はあとにし,知識とスキルを身につけることを優先しましょう.概念は追って形成されてくるものです.

ノートを見ながら学ぶ

公式や用語をうろ覚えのままで使わず,ノートを見ながら繰り返し正しく使うことで,正しい知識を定着させましょう.特に電磁気の分野では,うろ覚えのまま問題を解きちらかしてしまい,いつまで経っても正しい知識が身につかない受験生を多く見てきました.

イメージや概念は後回し

物理概念は容易に理解できるものではありません.また,イメージしにくい問題も多いため,イメージで解こうとせず,ロジカルに問題を解いてからイメージ力を磨くことが大事です.問題を解く過程で,概念が徐々に形成されることを理解した上で進むのが良いでしょう.

何周もする / じっくり取り組む

電磁気のような抽象度の高い分野は,じっくり取り組むとキツくなりがちです.サラッと何周か繰り返す方が効果的です.一方で,波動のように具体的な分野は,分かるまでじっくり取り組むのが良いでしょう.

問題文を読むスキル

問題の読み間違えは,国語力よりも物理の理解度の問題です.物理特有の言い回しにも慣れていくことが大事です.基礎力をしっかり身につければ,問題文は自然と読めるようになります.ただし,ある程度以上のレベルの問題では,問題文の読み方も学んでいく必要があるでしょう.