過去問演習・模試・入試本番を通じ,試験へ取り組む際に留意すべきことについてまとめます.
リード文を読む際に
- 問題文をよく読む(よく読むとはどういうことか考えておく).
- まずは大枠を捉えるイメージ(ザックリとどのような現象を扱うのか).
- 知っている問題と似ている問題で誤読が起こりやすいので要注意.
- 与えられた文字や条件はできるだけ図に書き込む(無闇にチェックしても頭に残らない).
- 図に書きこみづらい条件は問題文中に下線を引くなどしておく.
設問を読み進める際に
- 各設問において「求める量は何か」というより「その現象を規定する法則・条件のリスト」を思い浮かべる.つまり,思考力(=解法の判断力)を働かせる.
- もちろん,解法を特に意識せずとも解き進められているうちはそのままの流れで解き進めて構わない(無理に立ち止まって思考する必要はないが,誤読には注意).
- 詰まってしまったときは,焦らずに一旦立ち止まって思考する(どんな物理現象なのか,その現象を規定している物理法則や所与の条件は何なのか整理する).
- 指定文字に気を取られすぎない(指定文字の組み合わせで答えを作るのではない).正しい考え方をすれば自然と指定文字で解答が表されると考える(もちろん辻褄合わせが必要になることはある).
時間配分について
- 原則として各大問に同じように時間を配分できるようにする(75分で3題であれば大体1題に20分ずつかけ,残り15分を得点しやすい問題に割くイメージ).
- 力学に時間をかけ過ぎて波動が解き切れなかったというような例があまりに多いので注意(力学はなんとか解けそうだなと思って考えているうちに時間を使いすぎてしまいやすい).
記述式答案の書き方
大学入試物理の記述式答案に記すべきことは,基本的には以下の通り:
- 物理法則や用いる条件など根拠
- 対応する数式
- 最終的な答
一番大事なのは最終的な答えが合っていることで,できるだけ簡潔に書くという意識を持ってください.余計なことをダラダラと書きすぎて,時間と余白が不足してしまったり,最初のうちだけ馬鹿丁寧で後半が雑な答案が非常に多いです.以下に留意すべき点を列挙しておきます.
- 用いる法則や考え方(「エネルギー保存則より」など)で1行,対応する式(「ma=-kx」など)で1行が基本形.
- 計算は書く必要なし.ただし,計算が重要な場面や残しておきたい計算は最小限の部分を記す.
- 状況説明も書く必要なし(「速度が一定なので力がつりあうから」とは書かずに,単に「つりあいより」でよい).
- ごく基本的な問題や公式にあてはめるだけの問題は答えのみでもよい.
- 答えに自信がある問題は,できるだけ簡潔に.
- 答えに自信がない問題は,法則名など方針だけでも記す.また、状況説明も把握できているものを出来るだけ書き,部分点を狙う.
- 文字の定義は書いた方が丁寧だが,常識的なもの(時刻${t}$,力${F}$や速度${v}$など)はいちいち断る必要なし.
- 場合によっては,図を活用する(図を描いて「図のようにおく」とするなど).
※ 例えば東北大は,部分点を多くくれる傾向があるので,方針を示す(「エネルギー保存則を使う」など)だけでも点が来る可能性がある(使える法則の判断は,物理にとって本質的である).一方で,公式当てはめだけの問題に記述欄があり当惑する受験生も多いが,そのような場合は途中過程を無理に記述する必要はないだろう(「合成容量の公式を使う」などと答案に書くことに加点するとは到底思えない).