過去問演習・模試・入試本番を通じ,試験へ取り組む際に留意すべきことについてまとめます.
◆ 問題文を読む際に
あたり前のことですが,問題文をよく読みます.特に,知っている問題と似ている問題で誤読が起こりやすいので要注意.また,与えられた文字や条件はできるだけ図に書き込むこと(無闇にチェックしても頭に残らない).図に書けない条件は問題文中に下線を引くなどしておくのがよいでしょう.
◆ 設問を読む際に
設問で「何が求められているか」よりも「どんな物理現象なのか」を把握することが大切です.また,指定文字に気を取られすぎないこと.指定文字の組み合わせで答えを作るのではなく,正しい考え方をすれば自然と指定文字で解答が表されるはずです.
◆ 問題を解く際に
解法を特に意識せずとも解き進められているうちはそのまま思考の流れに沿って解いていけばよいでしょう.ただし,詰まってしまったときは,焦らずに立ち止まり,どんな物理現象なのか,その現象を規定している物理法則や所与の条件は何なのか思考を整理してください.
◆ 答案を作る際に
大学入試物理の記述式答案に記すべきことは,以下の通りです.
① 物理法則や用いる条件など根拠
② 対応する数式
③ 最終的な答
基本的には最終的な答えが合っていることが大事で,できるだけ簡潔に書くという意識を持っていてください.余計なことをダラダラと書きすぎて,時間と余白が不足してしまったり,最初のうちだけ馬鹿丁寧で後半が雑な答案が非常に多いです.以下に留意すべき点を列挙しておきます.
- 用いる法則や考え方(「エネルギー保存則より」など)で1行,対応する式(「ma=-kx」など)で1行が基本形.
- 計算は書く必要なし.ただし,計算が重要な場面や残しておきたい計算は最小限の部分を記す.
- 状況説明も書く必要なし(「速度が一定なので力がつりあうから」とは書かずに,単に「つりあいより」でよい).
- ごく基本的な問題や公式にあてはめるだけの問題は答えのみでもよい.
- 答えに自信がある問題は,できるだけ簡潔に.
- 答えに自信がない問題は,法則名など方針だけでも記す.また、状況説明も把握できているものを出来るだけ書き,部分点を狙う.
- 文字の定義は書いた方が丁寧だが,常識的なもの(時刻${t}$,力${F}$や速度${v}$など)はいちいち断る必要なし.
- 場合によっては,図を活用する(図を描いて「図のようにおく」とするなど).
例えば東北大は,部分点を多くくれる傾向があるので,方針を示す(「エネルギー保存則を使う」など)だけでも点が来る可能性がある(使える法則の判断は,物理にとって本質的である).一方で,公式当てはめだけの問題に記述欄があり当惑する受験生も多いが,そのような場合は途中過程を無理に記述する必要はないだろう(「合成容量の公式を使う」などと答案に書くことに加点するとは到底思えない).
◆ 時間配分について
原則として各大問に同じように時間を配分できるようにしてください.力学に時間をかけ過ぎて波動が解き切れなかったというような例があまりに多いです.75分で3題であれば大体1題に20分ずつかけ,残り15分を得点しやすい問題に割くイメージです.