【入試物理の思考地図】力学の解法フロー
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図:力学の問題を,座標系と注目する物体・系の設定から特殊な処理まで見通す思考地図です.
基本方針
座標系を設定し,注目する物体・系を決め,適用する法則を選ぶ.
座標系の選び方
- 基本的には「静止座標系」を用いる.
- 問題文に示唆があれば,「動く座標系」を用いる.
※ 静止座標系:正確には,地面に固定した座標系など,問題設定に応じた慣性系のこと.
※ 「〇〇と共に動く座標系を用いると…」,「〇〇と共に動く観測者から見て…」,「〇〇に対する△△の相対運動に注目すると…」などの文言がカギとなる.
※ 通常は,束縛条件が単純になるような座標を選ぶ.慣性力(架空の力)と速度の変換に注意.
1物体の運動の取り扱い
- 運動方程式・束縛条件を連立して解ける ⇒ 時間追跡
- 解けない・解く必要がない ⇒ エネルギー定理
複数物体系の運動の取り扱い
- 単純な運動の組みあわせになる ⇒ 個々の運動の追跡
- 【こちらが基本】単純でない ⇒ 全体での運動量・エネルギー保存則・束縛条件の連立
※ 2物体が一体となって動く等のごく単純な運動や,束縛条件が単純な形になる場合.発展的な例としては,重心運動が等速度運動や等加速度運動になり,相対運動が単振動や等速円運動になるような場合もあるが,このような場合には,問題文に誘導や示唆があると思っておいてよい.
※ 運動量保存則は,系が外力を受けない方向に限って成り立つ.また,運動量が保存することを重心速度が一定と言い換えることもある.特に,運動量がゼロであるとき,重心は動かない.
立式上の留意点
時間追跡の手法
- 等加速度運動:時間追跡可能(v-t図推奨).時間の情報不要なら,エネルギー定理でも.
- 単振動:時間追跡可能(一般解など).時間の情報不要なら,エネルギー定理でも.
- その他の運動(時間追跡不可):エネルギー定理の一択.
- 【例外①】加速度が時刻のみの関数:素朴な積分で時間追跡可能.
- 【例外②】指数関数型の微分方程式:時間追跡可能.
エネルギー定理の立式
- 注目する系を明確にし,系の力学的エネルギーを把握する.
- 非保存力や「公式」がない力については,系の外力と捉え,仕事を定義通りに求める.
- 系のエネルギー変化は,外界よりなされた仕事に等しい.
※ 位置エネルギーの「公式」がある力(地表付近の重力,ばねの弾性力,点電荷間のクーロン力,質点間の万有引力の4つ)は,位置エネルギーを「公式」から書き下す.
※ 単振動の場合などは,「合力の位置エネルギー」を導出して用いてもよい.
仕事の求め方
- 力と変位が既知 ⇒ 仕事の定義に従って求める.
- いずれかが未知 ⇒ エネルギー収支から逆算する.
※ どの系に注目するのか明確にすること.
力積について
- 運動量と力積の関係は,運動方程式の時間積分形であるから,指示がある際にしか用いない.
- 力積は運動量変化から逆算する場合がほとんどだが,定義も忘れない.
特殊な処理
円運動
- 接線・向心方向と円運動する面に垂直な方向に分解し,速度・加速度の「公式」を用いる.
- 等速円運動:運動方程式の向心成分を立てる.垂直方向にも注目.
- 非等速円運動:エネルギー保存則・運動方程式の向心成分の連立.
※ 非等速円運動では,接線方向の運動方程式は解けないことが多いが,ごくまれに解ける設定もある.
天体の運動
- 軌道が指定されない運動:エネルギー保存則.
- 円軌道:等速円運動の扱い.
- 楕円軌道:面積速度保存則・エネルギー保存則の連立.
- 双曲線軌道なども上記に応じて扱える.
- 周期を出す際はケプラーの第3法則も念頭に.
※ 面積速度保存則は,天体の運動におけるケプラーの第2法則として用いる場合以外は,問題文で説明がなされることが多い.
衝突
- 外力のない方向の運動量保存則と問題文に与えられた条件の連立.
- 与えられる条件としては,はね返り係数の値,弾性衝突の仮定,相対速度に関わる条件などがある.
剛体
- 剛体のつりあい:力のつりあい・力のモーメントのつりあいの連立.
- 剛体の運動:問題の誘導に従う.
※ 剛体の運動は,基本的には入試範囲外だが,保存則で議論させたり,上手い座標系(重心系など)を選んで円運動に帰着させるような問題が存在する.