数学講座『上級演習』についてご案内します.
◆ 対象と概要
- 基礎〜標準レベルがある程度身についた理系難関大受験生向け(目安として「標準演習」の1つ上のレベルです).
- 難関大で特に発展的内容が出題される分野(整数,確率,軌跡,微積)に絞って,対策講義を行います.
◆ カリキュラム
※ 「整数」と「確率」のFLは,『基幹*数学IA』に含まれるものと同じです.
確率
場合の数と確率の単元について,基礎的なことから発展的なことまで,重要事項をひと通り全て扱います.FL(基礎講義)で基礎的な内容(定義・定理・公式など)を解説し,典型問題で「これは覚えておいた方がよい」という典型問題を網羅します.更に,完全順列や破産の確率などの有名問題と,実践練習としての難関大の過去問(の中でも難しめの問題)を扱っています.
FL(基礎講義): 1. 順列・組合せ / 2. 円順列 / 3. 組分け / 4. 重複組合せ / 5. 1対1対応 / 6. 確率の定義 / 7. 確率の基本性質 / 8. 反復試行の確率 / 9. 条件付き確率 / 10. 確率と数列
典型問題:11. 同じものを含む円順列 / 12. スターリング数 / 13. ボールの分配 / 14. くじ引きの確率 / 15. 余事象の利用 / 16. 最大値・最小値の確率 / 17. さいころの目の積 / 18. ランダムウォーク / 19. 反復試行の確率の最大値 / 20. 状態の推移 / 21. 条件付き確率 / 22. 原因の確率 / 23. 確率漸化式
有名問題:24. 階段ののぼり方 / 25. 破産の確率 / 26. 完全順列 / 27. ポリアの壺
入試問題:28. 06京都 / 29. 02東北 / 30. 12東京
整数
整数問題は「パターン的な解法を覚えるだけではダメで試行錯誤して自力で考えることが重要」とよく言われます.しかしながら,実際は《よく使われる考え方》や《有名問題》を押さえておくとかなり解きやすい問題が大半で,それが身についていないことが原因で苦手意識をもっている人が多いです.予習用講義に対応するFLで基本事項を全て解説し,本講義の前半で有名問題を解説します(重要なものはひと通り全て扱います).ここまでが整数の単元で「覚えるべきこと」です.後半では実践練習としていくつかの入試問題を解きます.
FL(基礎講義):1. 約数 / 2. ユークリッドの互除法 / 3. 2元1次の整数方程式 / 4. 直角双曲線の整数方程式 / 5. 範囲をしぼる / 6. 合同式 / 7. ルートが整数 / 8. 最大公約数・最小公倍数 / 9. 階乗の素因数 / 10. 有理数・無理数 / 11. 有理数解の定理
有名問題:12. $ax + by = 1$ / 13. 完全数 / 14. フェルマーの小定理 / 15. 完全剰余系 / 16. 素数 / 17. 鳩の巣原理 / 18. 2元2次不定方程式 / 19. 剰余数列の周期性 / 20. 平方剰余 / 21. $ax + by$で表せる数 / 22. ぺル方程式
入試問題:23. 18京都 / 24. 86東京工業 / 25. 11一橋 / 26. 03東京 / 27. 91東京工業
定義・定理・公式のまとめ:1. 倍数・約数・公倍数・公約数 / 2. 除法の原理 / 3. $ax + by = 1$ / 4. $bc$が$a$の倍数 / 5. 素数・合成数 / 6. 素因数分解の可能性と一意性 / 7. 約数の個数と総和 / 8. 階乗の素因数 / 9. 合同式・剰余類 / 10. 合同式の公式 / 11. ユークリッドの互除法 / 12. 最大公約数・最小公倍数 / 13. 中国の剰余定理 / 14. 有理数解 / 15. 連続整数の積 / 16. フェルマーの小定理 / 17. 倍数判定法 / 18. 互に素な2数の累乗
軌跡
一口に軌跡と言ってもいろいろな種類の問題があり,扱われる単元も初等幾何・図形と方程式・2次曲線・複素平面・微積分・ベクトル…と多岐にわたるため,知識が断片的になっている人が多いと思います.この講座では,全分野における軌跡の問題を取り上げ,解法を整理してゆきます.特に写像の値域と存在条件に即した方程式の理論をていねいに解説します.また苦手な人が多い初等幾何で覚えるべきことを整理します.
基本事項:1. 幾何における軌跡 / 2. $xy$平面上の平行移動・拡大・回転 / 3. 同値変形 / 4. 写像 / 5. 対称式
重要テーマ:6. アポロニウスの円 / 7. 定線分を見込む角が一定 / 8. パラメータ表示された曲線 / 9. 交点の軌跡 / 10. $xy$平面上の変換(逆変換が作れるタイプ) / 11. $xy$平面上の変換(逆変換が作れないタイプ) / 12. 複素平面上の変換 / 13. 2点が動く
応用問題演習:問題14〜21
※ 付録:軌跡問題の解法の分類
微積
いくつかの発展的な有名問題を解説します.入試問題を解説するような授業ではなく,入試問題の背景にあるような問題(大学の微積の教科書にあるような問題)をそのまま扱います.数学IIIの「標準演習」のレベルがきちんと身についていて,その1つ上のレベルの勉強をしたいという意欲的な人向けです.
1. $\arctan x$の級数表示 / 2. 有理関数の広義積分 / 3. ネイピア数$e$ / 4. 凸関数 / 5. Jensenの不等式(凸関数の不等式) / 6. Youngの不等式 / 7. 平行曲線 / 8. 曲率半径 / 9. 擬角柱の回転体 / 10. アステロイド