【講座紹介&活用ガイド】基幹数学IIIC

数学IIICの学習上の注意点について述べつつ,講座『基幹数学IIIC』についてご案内します.

本講座は,効率よく短期間で全体を学べる構成で,初学者にも対応します.定石を網羅しているので入試直前期の確認にも役立つはずです.

◆ 数学IIIC学習上の注意

数学IIICの学習には特別な注意が必要です.分量が多く,数学の他の分野と比べても学習時間を多く割くことになります.そのため,効率的に学ぶことが非常に重要です(そうしなければ,数学の他分野や他教科の学習時間を圧迫してしまう).本講座では重要なポイントを効率よく学ぶ方法を提案しています.

微分積分は他の分野・単元に比べて難易度が高く,計算技術と理論の両方を学ぶ必要があります.技術的なことと理論的なことを同時に学ぶと初学者に負担が大きく,形だけこなして何も身についていないなどということもありがちです.また,教科書通りの順序で学ぶと,重要な内容にたどり着くまでに時間がかかりすぎます.本講座では,微分積分の計算を最初に取り上げ,計算と理論を分けて学習することで,初学者でもスムーズに進められ,かつ迅速に得点力が身につくことに留意しています.

数学を理解することが楽しさにつながるというのは事実ですが,まずは効率よく分かりやすく学ぶことが最優先です.数学の楽しさを語る前に,分かりやすさと効率の良さを重視しています.受講していくことで,自然と数学の楽しさを実感できるようになるでしょう.

◆ 受講アドバイス

初学者向け受講例

微積の基本事項を身に付けるのが最優先です.「微積の計算」,「微積の理論」,「極限」のFL(合わせて14時間程度)をなるべく早めに受講してください.続いて,「極限」,「微積の応用」,「微積の応用」の標準演習(合わせて22時間程度)を受講してください.

複素平面の分野については,微積と並行して取り組んでもよいですし,余裕がない場合には微積がある程度身についた後に一挙に取り組んでも良いでしょう.FLと標準演習を合わせても8時間程度で定石を網羅することができます.

2次曲線と極座標の分野については,微積がひと通り終わった後に取り組んでください.FLと標準演習を合わせて11時間程度です.

既習者向け受講例

標準演習を中心に取り組んでください.極限,微積の応用,複素平面,2次曲線と極座標で24時間程度です.1回2〜4時間程度ずつ受講すればよいペースになるでしょうか.「標準演習」シリーズで知識の抜け漏れや弱点が見つかった場合にはFLの必要部分を視聴してください.

◆ セクション案内

複素平面

FLでは,数学IIIの複素平面の入門編です.学校や塾あるいは独学で複素平面を学ぶ前に視聴していただくことを想定して作ってあります.その際には初めから全て完璧に覚えようとしないで「なんとなく聞いたことがある」という状態を作るくらいのつもりで取り組めばよく,それだけでも今後の学習が進めやすくなると思います.もちろん一度この単元を学んだあとに基本的なことをざっと復習するという使い方もOKです.

高校教科書に載っている内容は全てカバーしてありますが,教科書にはなくことでも「難関大志望者の常識」は全て扱うようにしています.またことばや記号は数Ⅲの教科書ではなく大学の数学で使われるものに合わせることを基本としていますが,学習上不便にならないように配慮してあります.

標準演習では,複素平面の典型問題を扱います.FLと合わせて単元の重要事項をひと通り網羅できるようになっています.数学IAIIBをひと通り学習済みであれば数Ⅲは未習でも構いません.事前にFLを視聴していただくことを推奨します.

FL(基礎講義):0. 記号 / 1. 複素数 / 2. 共役解の定理 / 3. 複素平面 / 4. 絶対値 / 5. 極形式 / 6. 積と商 / 7. 積の図形的意味:回転・拡大 / 8. ベクトルの回転・拡大 / 9. ド・モアブルの公式 / 10. 1のn乗根 / 11. 円の方程式 / 12. アポロニウスの軌跡 / 13. 図形の移動
標準演習:14. 三角形の形状決定 / 15. 初等幾何 / 16. 極形式 / 17. 実数条件と純虚数条件 / 18. 1次分数変換 / 19. 1の$n$乗根 / 20. 1の$n$乗根 / 21. 1の原始$n$乗根 / 22. 垂直条件 / 23. 反転

微積の計算

数学III の微積分の入門編です.本格的に微積分の勉強をスタートする前に視聴していただくことを想定して作ってあります.また,既習であるものの微積計算が苦手だという方が基本事項の復習として使うこともできます.

授業では,微積分の計算に使う公式を証明抜きに結果だけ紹介し,その使い方を解説してゆきます.基本的なものだけに限定し,できるだけ手軽に微積計算の全体像をつかむことがねらいです.数学IIまで学習済みであれば数学IIIの知識はゼロでも取り組めるようになっています.

FL(基礎講義):1. 記号 / 2. 微分公式 / 3. 合成関数 / 4. 合成関数の微分 / 5. 主要な関数一覧 / 6. ベキ関数の微分/ 7. 三角関数の微分 / 8. ネイピア数 / 9. 指数・対数関数の微分 / 10. 両辺微分 / 11. 対数微分法 / 12. 第$n$次導関数 / 13. 陰関数の微分 / 14. パラメータ表示された関数の微分 / 15. 基本公式 / 16. ベキ関数の積分 / 17. 分数関数の積分 / 18. (多項式)/(1次式の積)の積分 / 19. 三角関数の積分公式 / 20. 三角関数の積和公式 / 21. 三角関数の2次式の積分 / 22. 指数・対数関数の積分 / 23. 偶関数・奇関数 / 24. 偶関数・奇関数の定積分 / 25. $f(g(x))\cdot g^\prime (x)$の積分 / 26. 置換積分法 / 27. $\sqrt{(\text{1次式})}$を含む積分 / 28. $\sqrt{(a^2-x^2)}$を含む積分 / 29. $\frac{1}{a^2+x^2}$の積分 / 30. 部分積分法 / 31. (多項式)×(三角関数),(多項式)× (指数関数)の積分 / 32. 対数関数,(多項式)×(対数関数)の積分 / 33. 絶対値のついた関数の定積分
※ このセクションはFLのみです.

微積の理論

数学IIIの微積分の単元の理論(定義,定理・公式の証明)を扱います.極限の単元が未習でも学べるようになっています(極限については必要なものを随時導入してゆきます).なお,高校数学の教科書レベルの内容を扱います(高校数学の程度を超える内容は扱いません).

FL(基礎講義):1. イントロ / 2. 微分の定義 / 3. 片側極限 / 4. 関数の連続性 / 5. 微分可能と連続 / 6. 積の微分公式・商の微分公式 / 7. 合成関数の微分公式の証明 . 8 $\frac{\sin(x)}{x}$の極限 / 9. 三角関数の微分公式の証明 / 10. 指数・対数関数の微分公式の証明 / 11. 区間 / 12. 最大・極大の定義 / 13. 平均値の定理 / 14. 関数の増減 / 15. 面積公式の証明 / 16. 逆関数とは何か / 17. 逆関数のグラフ / 18. 逆関数の微分 / 19. 逆関数の積分
※ このセクションはFLのみです.

極限

FL(基礎講義)は,数学IIIの極限の入門編ですが,微積の知識を前提とするため,学校や塾あるいは独学で微積分の単元をひと通り学び終えた後に(最低でも微積分の計算は学び終えた後に),復習として基本事項を総整理するために視聴していただくことを想定して作ってあります.多くの人が苦手とするような内容を中心に扱っているので弱点を克服するのに適していると思います.FLの中では比較的難易度が高いので注意してください.

極限(微積も含む)の典型問題を扱います.FLと合わせて単元の重要事項をひと通り網羅できるようになっています.数Ⅲの微積計算はひと通り既習であることを前提とします(完璧に身についていなくてもよい).

FL(基礎講義):1. 数列の極限 / 2. 無限級数 / 3. 関数の極限 / 4. 三角関数と指数・対数関数の極限 / 5. 多項式と指数・対数関数の発散速度 / 6. 関数の連続性と微分可能性 / 7. 漸化式で定義される数列の極限 / 8. 区分求積法 / 9. ガウス記号と極限 / 10. 複素数列の極限
標準演習:11. はさみうちの原理 / 12. 等比数列の極限 / 13. 等比数列の極限 / 14. 無限等比級数 / 15. 調和級数の発散 / 16. 関数の極限 / 17. 三角関数と指数・対数関数の極限 / 18. 漸化式$a_{n+1}=f(a_n)$で定義される数列の極限 / 19. ガウス記号と極限、区分求積法 / 20. 複素数列の極限

微積の応用

FL(基礎講義)では,微分積分を道具として使うような種々の問題を扱います.この授業では先に「微積の計算」,「微積の理論」の受講(あるいはそれに相当する知識があること)を前提とします.「極限」とこの授業はどちらが先でも大丈夫です.

3部構成で,PART1「最低限の基本事項」,PART2「重要テーマ」,PART3「発展的な積分計算」となっています.

標準演習では,FLで扱った内容の総まとめとして,典型的な問題の演習を通して基本事項の確認をしつつ,入試レベルの問題への橋渡しをしてゆきます.

FL(基礎講義):1. 曲線の凸凹 / 2. グラフを描く / 3. 1次分数関数のグラフ / 4. 無理関数のグラフ / 5. 面積($x$軸方向の積分) / 6. 面積($y$軸方向の積分) / 7. 面積(パラメータ積分) / 8. 体積 / 9. $x$軸まわりの回転体 / 10. $y$軸まわりの回転体 / 11. 曲線の長さ / 12. 速度・加速度 / 13. 曲線が接する / 14. 曲線に接する円 / 15. 方程式の実数解の取り方 / 16. 不等式の証明(微分の利用) / 17. 不等式の証明(平均値の定理の利用)/ 18. 積分方程式(定積分が定数) / 19. 定積分で定義された関数 / 20. 積分方程式(定積分が関数) / 21. 絶対値を含む関数の定積分 / 22. 定積分と不等式 / 23. 和を定積分で評価する / 24. 定積分と漸化式 / 25. 方程式で表される立体の体積 / 26. $xy$平面の回転体 / 27. $xyz$空間の回転体 / 28. 偶関数と奇関数の定積分公式の証明 / 29. 三角関数の直交性 / 30. $e^{ax}\sin(bx)$と$e^{ax}\cos(bx)$の積分 / 31. 三角関数の積分 / 32 $\frac{1}{\sqrt{x^2+a}}$と$\sqrt{x^2+a}$の積分 33 有理関数の積分
標準演習:34. 区分求積法 / 35. 定積分の計算 / 36. 定積分の漸化式 / 37. Wallisの公式 / 38. 絶対値を含む関数の定積分 / 39. 定積分で表された関数 / 40. 積分方程式(定積分が定数) / 41. 積分方程式(定積分が関数) / 42. 法線の本数 / 43. 減衰曲線 / 44. $xy$平面の回転体 / 45. $xyz$平面の回転体 / 46. 斜軸回転 / 47. 弓形の面積 / 48. 直交する3円柱の共通部分 / 49. 水の流出速度

2次曲線と極座標

FL(基礎講義)では,2次曲線,曲線のパラメータ表示,極座標についての基本的なこと(主に公式) を解説します.微積を使えた方が効率よく学べるところがあるので,数Ⅲの他の単元をひと通り学んでから最後のこの単元に取り組むのがおすすめです.この授業では微積の知識を前提としています.3部構成で,PART1が2次曲線,PART2がいろいろな曲線,PART3が極座標です.

この単元は苦手な人(というよりきちんと習ったことがない人)が多く,出題頻度はそれほど高くないものの,出題されたときには差がつきやすいという特徴があります.きちんと勉強したいけど時間をかけ過ぎたくないという人のために,この授業だけで重要事項をひと通り全て学べるような構成にしてあります.なおこの授業は微積をひと通り学んだあとに取り組むことを想定して作ってあり,微積の標準的な知識を前提とします.

FL(基礎講義):1. 放物線 / 2. 楕円 / 3. 双曲線 / 4. 2次曲線の接線 / 5. 円と楕円のパラメータ表示 / 6. サイクロイド / 7. アステロイド / 8. 極座標の定義 / 9. 極方程式 / 10. 極座標による曲線の長さ / 11. 極座標による面積
標準演習:12. 放物線の焦点 / 13. 楕円上の点と焦点の距離 / 14. 楕円の焦点 / 15. 双曲線の接線 / 16. 標準形の証明 / 17. 2次曲線の定義 / 18. 楕円を円に変換 / 19. 準円 / 20. 離心率 / 21. 曲線の回転 / 22. 円のパラメータ表示 / 23. ハイポサイクロイド / 24. カージオイド / 25. 正葉曲線 / 26. 放物線の極方程式 / 27. 楕円の極方程式 / 28. レム二スケート / 29. 極座標による面積公式の証明 / 30. 放物線の反転

付録1:三角関数の計算

1. 三角関数の定義 / 2. 基本的な公式 / 3. 合成 / 4. $\sin\theta$と$\cos\theta$の2次同次式 / 5. $\sin\theta$と$\cos\theta$の対称式

付録2:指数・対数関数

1. 指数とは / 2. 対数の定義 / 3. 対数の公式の証明 / 4. 対数関数のグラフ / 5. 指数・対数の不等式 / 6. 常用対数

STORE